最終回感想と雷轟丸とじべたドット

whitedog05022008-04-02




true tears』13話「君の涙を」


すごくいい最終回でした。


一話前を考えると,結局比呂美を選んだのはちょっと意外でした。でも,結局幼なじみの恋を成就させた物語なのか……でもそれ以上にやはり,涙の物語であり,乃絵の物語だったんだな。


乃絵は……閉じこもり,人を遠ざけてしまってた時期があって,今も理解者のいない少女。そういう子って現実にもいて,彼氏が出来るとますます自分の世界に閉じこもってしまう気がします。しかし,その恋を自分から去って,そして友達を見つけた=今までの自分を変えようとした。それは,何も知らない自分から,知りたいと思う自分になった……という結論は,すごくよかった。
眞一郎が乃絵を選ぶ理由だって,たくさん物語にはつまっているけど,でもそうしたら,乃絵は多分飛べないまま……だったのかな。本当は,「私はまだ飛べないから歩いてく」という乃絵も,あの時点ですでに十分強さと飛ぶ力を持っていたと思うのだけど。


最後の後ろ姿は,こっちが泣けてきました。でも同情なわけでもない。
地面に描いた「のえがすきだ」の演出は,くるぞくるぞーと分かっているのにグッときた。
それを見つめる乃絵の表情が,悲しみでも苦しみでも,もちろん笑顔でもないけど,何とも言えないその表情がまたいいんだなあ。
他にいくらでも,乃絵の涙を演出できるところはあったのに,最後の最後まで,それこそ数か月先まで引っ張ってるのもまた,この作品らしい。
全編を通じて,絵も動きももちろんいいのだけど,それ以上に気持ちを乗せる間が……言うことでなく言わないことで演出する間が,とてもよかった。



と,乃絵のことに終始してしまうのだけど,比呂美は比呂美で,いいヒロインでした。乃絵の感じる痛みより,比呂美自身のイヤミにぐさぐさきました。「ドンドンイヤな自分になってくる」という自己嫌悪と,それでもすがりたい心と,あーもー,すごく女らしい子でした。
特にライバルのことをいつまで経っても「石動乃絵」とフルネームで呼んじゃうところとか。すごくわかるな。話すような仲になっても,「石動さん」と呼ぶほど親しくもないし,親しくなりたくもない。だから個体名を言う。最後に「石動さんと…」と言う比呂美は,やっと彼女の中決着をつけれたんだなあ。



眞一郎もよかった。11話か12話の,一度悲劇を描きつつ,飛ぶために,飛ぶことを信じて絵本を完成させたのはかっこ良かった。いや,かっこいいというよりも,乃絵が松葉杖で去るときの力強さのような,力をしぼって生きている人の強さがよかった。



それぞれ,10代を精一杯生きる物語だったんだなあ……。
……ごめん,愛ちゃんと三代吉は,エピソードが短すぎてなんとも。4番も。



元々『シムーン』が好きで,同じ監督の作品ってことで見始めたけど,ああ,確かに通じるところがありました。
シムーン』も,軍事メインのような話なのに戦争で決着をつけるのでなく,早々に敗戦して,残りに尺をたっぷり使って,本来の主題(青春群像)を描いていた。『true tears』も,恋愛"成就"メインかと思ったら,最後をじっくり使ってそれぞれが"飛ぶこと"を描いていたんだなあ。
そう,「飛ぶこと」と言いつつ,それはきっと,それぞれが〈自分の生きる道〉を歩んでいく……それは大成するとか誰かと結ばれるとかいう話じゃなく,誰しもが〈自分と向き合うこと〉から始めなければいけないこと,というところなんだろう。



とてもいい物語でした。




と,思わず前のめりで感想を書いていたら,ドット絵の話題が入らなかった。
たいてい「このシリーズのドット絵描くなら,これは描きたい」という脇役がいるのですが,『true tears』は,こやつらです。


雷轟丸と


地べた。



ついでに,乃絵と一緒。



雷轟丸は,『シムーン』でいうとアムリアのポジションか(笑)
じべたは,冬の海に投げ出されそうで,どっきどき。しかし,高校に鶏小屋があったり(農産関係の科があるの?),比呂美は家に鍵かけてなかったりと,細かいツッコミはありそうです。まあそれはそれ,これはこれ。


うん,本当にいい物語でした。